事前準備と足場設置 安全と効率の要
外壁塗装において最初に行う事前準備と足場の設置は、全体の作業効率と安全性を左右する重要な工程です。外壁塗装は住宅や建物の美観を保つだけでなく、建物自体の耐久性や防水性を高める大切なリフォームです。そのスタート地点となる事前準備と足場設置の質が、後のすべての作業に影響を与えると言っても過言ではありません。
事前準備ではまず、施工する住宅の現場調査が行われます。ここでは建物の劣化状況や外壁の素材、下地の状態、施工範囲を確認します。ひび割れやコーキングの劣化、塗膜の剥がれなどがある場合は補修が必要となるため、工程や日数に影響を与えます。この時点での詳細な確認が、予期せぬトラブルや追加費用の発生を防ぐポイントです。
続いて、足場の設置に進みます。足場は職人が安全に作業するためだけでなく、高品質な仕上がりを実現するためにも欠かせません。塗装作業では高所での作業や細部の塗装が求められるため、しっかりとした足場が必要です。足場設置には一般的に1日から2日程度を要しますが、建物の規模や形状によって変動します。例えば、複雑な形状の住宅や3階建ての戸建て住宅では、通常よりも時間がかかる場合があります。
高圧洗浄・下地処理・養生の期間と注意点
足場設置が完了すると、次の工程は高圧洗浄と下地処理、養生作業に移ります。外壁塗装の品質を大きく左右するのがこの工程であり、ここで手を抜くと塗膜の密着度が低下し、早期の剥がれやひび割れが発生する原因になります。
まず高圧洗浄ですが、これは外壁に付着した汚れ、カビ、コケ、古い塗膜の粉化物(チョーキング)を除去するために行います。高圧洗浄は通常1日で完了しますが、外壁の状態によっては時間が延びることもあります。例えば、外壁塗装の10年以上経過した建物では、汚れの蓄積が多く、洗浄に時間を要するケースが少なくありません。
続いて下地処理です。下地処理では、ひび割れ補修やシーリングの打ち直しが行われます。外壁塗装で最も多いトラブルがコーキングの劣化による雨漏りやひび割れです。特に、築10年以上の建物では劣化が進行していることが多く、補修に1日から2日を要することが一般的です。この工程を丁寧に行うことで、塗装後の耐久性が大幅に向上します。
養生作業は、窓やドア、植栽、玄関周りなど塗装しない部分を保護するために行います。塗料の飛散を防止し、仕上がりの美しさを保つために欠かせません。養生には半日から1日程度かかるのが標準ですが、複雑な形状の住宅や共有部分が多い場合はさらに時間を要します。
塗装作業 下塗り・中塗り・上塗りの日数と乾燥時間
塗装工程は外壁塗装の中心となる作業であり、下塗り・中塗り・上塗りという三層構造で行われます。この三回塗りが適切に行われることで、美しい仕上がりと耐久性を両立できます。それぞれの工程にはしっかりと乾燥時間を確保する必要があり、これを怠ると塗膜剥離やひび割れといった不具合の原因になります。
まず下塗りですが、これは外壁と塗料を密着させる役割を持ちます。下塗りは塗装面の状態や塗料の種類によって使い分けられ、施工にはおおむね1日、2日を要します。乾燥時間も非常に重要で、湿度や気温によって異なりますが、最低でも4時間から10時間程度は必要です。寒冷地や梅雨時期にはさらに長くなります。
次に中塗りです。中塗りは、下塗りと上塗りの間で塗膜の厚みを確保し、耐久性を高める工程です。外壁塗装では中塗りの工程で色味の調整が行われることが多く、ここで均一な塗膜を作ることが重要です。中塗りも1日程度で施工し、乾燥時間は下塗りと同様に数時間から1日かかります。
最後に上塗りです。上塗りは最終的な仕上げであり、耐候性や美観を決定付ける工程です。色ムラのないように丁寧に仕上げ、塗膜の厚みを均一に保つことが求められます。上塗りの乾燥時間は気温や湿度によりますが、標準で6時間から1日程度とされ、天候によってはさらに伸びることもあります。