外壁塗装を初めて依頼する方の多くが、見積もりや契約時点では気づかなかった落とし穴により、施工後に後悔しています。特に問題となるのは、業者選びの段階での情報不足や契約書類の読み落とし、そして工事中の対応に関するミスです。
後悔につながった事例と事前に確認すべきポイント
1.最安値で選んだ結果、質の低い工事に
ある一戸建て住宅では、3社の相見積もりを取り最も安い業者に依頼したものの、実際には塗装に使用された塗料のグレードが低く、施工からわずか3年で劣化が目立ち始めました。塗料の種類や耐用年数、使用缶数を確認していなかったことが原因です。シリコン塗料とフッ素塗料では、性能やメンテナンス性に大きな差があるため、選定時の確認が不可欠です。
2.保証が曖昧な契約書でアフターサポートが受けられない
保証年数が長いと謳っていたにもかかわらず、契約書には「施工後の不具合については協議の上で対応」と記載されていた事例もあります。このような曖昧な表現は、実際には保証されない可能性があるため、「瑕疵担保責任」「工事保証期間」「保証対象外事項」の明記があるか必ず確認すべきです。
3.工事スケジュールがずれ込み、予定に支障が出た
工事の着工日が当初の予定から1週間遅れ、旅行や引越しの予定に影響が出たという報告も少なくありません。天候による工期延長は仕方のない部分もありますが、事前に「天候による順延時の連絡体制」や「工期に関する補足対応」が明文化されているかが鍵になります。
4.養生不足で車や植木に塗料が付着した
下地処理の際に高圧洗浄の水が飛散し、近くにあった車のボディにシミができてしまった例もあります。養生範囲や施工範囲を事前に写真で記録する、塗装開始前に現場で立ち会いチェックを行うなど、施主側の確認も重要です。
5.追加作業が突然発生し、納得できない支払いが生じた
見積もり時には含まれていなかった「軒天補修」や「コーキングの全面打ち替え」が工事中に追加され、トータルで大きく上回る金額になった事例も。初回見積書には必ず「追加工事発生時の報告方法と施主承諾の必要性」が明記されているか確認し、口頭ではなく書面での変更合意を求めることが大切です。
見積もり段階で確認すべき主な項目
確認項目
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チェックポイント
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塗料の種類とグレード
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シリコン、フッ素、無機、ウレタンなど、希望に応じた性能があるか
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工期の目安
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着工から完了までの工程が明確か(雨天対応や順延時の措置も含む)
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保証内容と範囲
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年数・対象部位・施工不良の対応方法が具体的に記載されているか
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養生・周辺配慮
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近隣住宅・植木・車への配慮、挨拶まわりの有無
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追加作業の管理
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発生時の連絡手段、施主の同意書取得のルールがあるか
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契約前にこれらのポイントを押さえておけば、施工後のトラブルや後悔を大幅に減らすことができます。見積もり書や契約書をよく読み、不明点は必ず書面で質問・確認する姿勢が大切です。
工程・保証・アフターサービスの確認ポイント
外壁塗装は、単に外観を整えるだけでなく、住まいの寿命を延ばすメンテナンスの一環でもあります。そのため、塗装の工程や施工品質の担保、工事後のアフターサービスに至るまで、包括的に確認することが重要です。
1.工事の工程は細部までチェックすべき理由
外壁塗装は「下地処理→下塗り→中塗り→上塗り→点検→清掃」の順に進行します。とくに下地処理やシーリング補修が不十分な場合、どんなに高品質な塗料を使っても早期の劣化に繋がります。作業日報の提出を求めたり、写真付きの進捗報告をお願いすることで、施工状況の可視化が可能です。
2.保証制度の種類と盲点
保証内容は業者によって異なり、メーカー保証と自社保証が混在している場合があります。メーカー保証は塗料製品に対する保証、自社保証は施工技術に対するものが一般的です。しかし、どちらも「適切な施工条件を満たしている場合に限る」ことが条件となるため、事前に保証書の写しをもらうことが望ましいです。
3.アフターサービスで受けられる支援内容を確認する
塗装完了後も、定期点検や部分補修、塗膜劣化の相談などがスムーズに行えるかは、業者の信頼性に大きく関わります。実績豊富な業者であれば、工事後1年目、3年目、5年目などのタイミングで無料点検を実施している場合があります。そうした定期サービスの有無や内容を、契約時に明文化しておくことが大切です。
保証・工程・アフター内容の比較表
項目
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チェック内容
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注意点
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施工工程の透明性
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各段階の作業内容が明記されているか
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特に下塗りの回数と乾燥時間が要注意
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保証制度の有無と範囲
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塗膜のひび割れ、剥離、水漏れなどへの対応範囲
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「自然災害除く」など除外項目を要確認
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点検・サポート体制
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無料点検や相談受付の体制が整っているか
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点検間隔と内容、対応スピードなどを確認
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記録・報告の有無
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工程写真、日報、報告書などで進捗が共有されているか
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書面で残らない業者は避けるべき
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アフター対応や保証制度を軽視してしまうと、いざというときに不具合を放置せざるを得ないリスクが生じます。契約前に、保証書の現物確認と、点検・対応の流れについて口頭だけでなく資料として受け取ることをおすすめします。