梅雨・台風シーズンの塗装は避けるべき?天候判断の基準とは
梅雨や台風の時期に外壁塗装を行うべきかどうかは、多くの方が抱える疑問です。結論から申し上げると、「基本的には避けるべき」です。理由は、外壁塗装における最重要工程の一つである「乾燥」が、雨天・高湿度の影響を強く受け、塗膜の品質を大きく低下させてしまうためです。
塗料の乾燥には一定の「気温」「湿度」「風通し」が必要とされており、特に湿度が高いと乾燥が遅れたり、塗膜が白く濁る「白化現象」や、表面がベタつく「乾燥不良」、仕上がり後に剥離や浮きが起こる「密着不良」のリスクが格段に高まります。
以下に、日本の代表的な都市での月別平均降水量と、梅雨・台風の影響時期を整理した表を掲載します。
地域
|
梅雨入り(目安)
|
梅雨明け(目安)
|
6月平均降水量
|
7月平均降水量
|
台風シーズン(主に影響)
|
東京
|
6月上旬
|
7月中旬
|
180〜200mm
|
150〜170mm
|
8月〜9月
|
大阪
|
6月上旬
|
7月中旬
|
160〜190mm
|
140〜160mm
|
8月〜10月
|
福岡
|
6月上旬
|
7月中旬
|
250〜300mm
|
200〜230mm
|
7月〜9月
|
このように、6月から9月にかけては全国的に降水量が多く、特に高温多湿の気候が続きます。この期間中の外壁塗装作業は、工事の中断・延期・品質不良などのリスクが高まりやすいため、工事予定のスケジュール設定に慎重さが求められます。
塗装業界で使われる「施工可能な湿度の上限」は、一般的に「湿度85%未満」とされており、これを超えると塗装品質は著しく低下します。これは塗料メーカーの技術資料にも記載されている信頼性の高い指標です。
梅雨や台風シーズンでも「どうしてもその時期に塗装をしたい」と考える場合は、以下のような条件が満たされていることが重要です。
- 高性能な乾燥機・送風機による強制乾燥が可能であること
- 足場に飛散防止ネット+屋根養生を施し、雨水の侵入を防げること
- 当日の気温と湿度を毎朝正確に測定し、施工可否を的確に判断している業者であること
- 作業工程ごとに十分な乾燥時間を確保するスケジュール管理がされていること
以上のように、梅雨や台風のような雨が多い季節の外壁塗装は「避けるべき」が基本であり、どうしても施工するならば高度な判断と設備を備えた業者であることが前提となります。
雨で工事が延期になった場合のスケジュールと費用の関係
外壁塗装中に雨が続くと、工期が延びることは避けられません。多くの方が懸念されるのが、「工期が延びたら費用が増えるのか?」という点です。結論としては、契約内容と業者の対応によって異なりますが、「基本的には追加料金なし」で対応してくれる業者が一般的です。
まず、雨による工期の延長は「天候による不可抗力」として、多くの契約書に「延期による追加費用は発生しない」と明記されています。ただし、足場の設置日数が延びたことでレンタル料や人件費が上乗せされるケースもゼロではありません。そのため、契約前には以下の点を必ず確認しておくことが重要です。
確認項目
|
チェック内容
|
契約書の記載有無
|
「天候による工期延長に伴う追加費用の発生有無」
|
足場レンタルの料金条件
|
「日数制」「定額制」「保証付きプラン」などの区別
|
作業中断時の対応内容
|
「中断中の養生処理」「資材保管方法」「近隣住民への対応」など
|
延期による仕上がり保証の影響
|
「塗膜保証やアフター保証の継続性が保たれるか」
|
また、スケジュールの遅れにより、当初予定していた工期とずれ込むことで「別の作業と重なり、業者の人員が分散しやすくなる」など、仕上がりに影響が出る場合もあります。そのため、雨が続くシーズンに入る前にスケジュールの予備日を確保し、柔軟な対応ができる体制であるかを見極めることが求められます。
雨が原因で工期が延びた場合、「いつ作業が再開できるのか?」という連絡体制も非常に重要です。連絡が遅れたり、当日になってキャンセルを繰り返されたりするような業者では、信頼性に欠け、結果的に大きなストレスとなります。
そのようなトラブルを避けるためにも、以下のような内容を事前に業者へ確認しておくと安心です。
- 雨天時の連絡体制(前日夕方か当日朝か)
- 中断中の足場や塗料の管理方法
- 代替日や予備日を組み込んだスケジュール提案の有無
- 雨天による保証内容の変更リスク
これらを理解・納得したうえで契約を結ぶことで、万が一の天候変化にも安心して任せられる体制を構築できます。