一般的な戸建て住宅での工期目安とスケジュール表
外壁塗装の施工期間は、戸建て住宅の場合「おおよそ7〜10日」がひとつの目安とされています。しかし、この日数は単純な作業日だけではありません。実際には「天候」「塗料の乾燥時間」「養生」「下地補修」「施工方法」など多くの要素によって変動しやすく、あらかじめ全体のスケジュールを把握しておくことが非常に重要です。
まず前提として、外壁塗装工事は複数の工程を順番に行う必要があります。各工程の間には乾燥期間や準備作業が含まれるため、連日作業ができるとは限りません。また、見積もり段階で「工期が短すぎる」と感じた場合には、施工内容の簡略化や手抜きのリスクも疑うべきです。安心して任せられる業者は、標準的なスケジュールを提示し、天候による延長可能性も事前に説明します。
以下に、一般的な2階建ての戸建て住宅(延床面積100〜120㎡程度)における塗装工事の基本スケジュールを示します。
作業工程
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内容概要
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所要日数(目安)
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近隣挨拶・現地調査
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工事前のご挨拶・建物確認
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1日
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足場設置・飛散防止シート
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安全確保・塗料の飛散対策
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1日
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高圧洗浄
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外壁や屋根の汚れを徹底洗浄
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1日
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下地補修・シーリング処理
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クラック補修・目地シーリング
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1日〜2日
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養生作業
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窓や玄関などの保護
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0.5日〜1日
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下塗り
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密着性向上のための下塗り塗装
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1日
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中塗り・上塗り
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仕上げの2回塗り
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各1日ずつ(合計2日)
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完了検査・仕上がり確認
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施主とともに最終チェック
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0.5日
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足場解体・清掃
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足場撤去・清掃・最終点検
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1日
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このスケジュールを合計すると、天候に恵まれた場合でもおおよそ7〜10日が必要となります。雨天や強風、寒冷地などの気候条件によっては、作業が中断されることもあるため、予備日を含めた2週間程度の工期を見込んでおくと安心です。
特に塗料の乾燥時間は外壁塗装の品質に直結するため、焦って次の工程に移るのではなく、1工程ごとにしっかりとインターバルを設けることが望まれます。業者によっては、工程ごとに「写真付きの進捗報告」を提出してくれるところもあり、透明性の高い施工を希望する方にはおすすめです。
また、地域によって塗装業者の繁忙期が異なり、特に「春(3〜5月)」や「秋(9〜11月)」は依頼が集中するため、早めの見積もり依頼が大切です。予約が取れない・職人の確保が難しい・工期が長引くといったトラブルを避けるためにも、希望工期の1〜2ヶ月前からの準備が成功の鍵となります。
さらに「工程表があるか」「作業時間帯は何時から何時までか」「作業員の人数はどれくらいか」などを事前に確認しておくことで、生活リズムへの影響も最小限に抑えられます。とくに「家にいる時間が長い方」や「小さなお子様・ペットがいる家庭」では、塗装期間中の生活環境にも配慮したスケジュール調整が必要です。
このように、外壁塗装の期間を把握する際には、単に「何日で終わるか」ではなく、「どの工程にどれくらい時間がかかるか」を理解することが、成功の第一歩と言えるでしょう。
雨や湿気で遅れる工程とは?時期によるリスク
外壁塗装の工期において、最も予測が難しく、かつ大きな影響を与えるのが「雨や湿気」です。塗装工程は天候に強く左右され、特に雨天や湿度の高い日は「作業の中断」「乾燥不良」「塗膜の剥がれ」などのリスクが高まります。たとえ工程表が事前にしっかり組まれていても、天気次第では数日単位でスケジュールがずれる可能性があるため、あらかじめ「遅延リスク」を織り込んだ計画が重要です。
まず、雨や湿気が直接的に影響する代表的な工程は以下の通りです。
作業工程
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天候の影響
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遅延リスクの大きさ
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高圧洗浄
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雨天では水圧が安定しづらい
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中
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下地補修・シーリング処理
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湿気で密着性が低下
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高
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下塗り・中塗り・上塗り
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湿潤状態では塗膜が剥がれやすい
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非常に高い
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乾燥期間
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湿度80%以上では乾きにくい
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非常に高い
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足場解体・清掃
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雨天での作業は滑落などの危険あり
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中
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特に注意が必要なのが「塗装工程」です。塗料には適切な乾燥時間があり、下塗りから上塗りまでの各段階でしっかり乾燥させることが、耐久性と仕上がりを左右します。しかし雨天時に無理に塗装を進めてしまうと、水分によって塗膜が膨れたり、密着不良が起こることがあります。最悪の場合、施工後1年以内に塗装が剥がれてしまうこともあるため、施工中の「乾燥管理」は非常にシビアです。
また、シーリング処理(コーキング)は、湿気が高いと硬化不良を起こしやすく、防水性能に大きな影響を及ぼします。打ち替えや増し打ちのシーリングが不完全な状態で塗装してしまうと、内部に水が入り込み、後に「内部腐食」や「カビの繁殖」などの二次トラブルを引き起こす恐れがあります。
特に梅雨時期(6月〜7月)や台風シーズン(9月前後)は、工事スケジュールが不安定になります。そのため、雨の多い時期は「通常よりも+3〜5日程度の余裕を見た工期設定」が望ましいとされています。
外壁塗装の工期を考える際には、単純に「作業日数」だけでなく「気象条件」を含めてスケジューリングすることが不可欠です。見積もり時点で、施工業者が「雨天時の対応」「予備日設定」「代替工程の提案(室内作業や事務処理)」などについて説明してくれるかも、信頼できる業者かどうかを見極めるポイントとなります。
また最近では、施工管理アプリやSNSで進捗を通知する業者も増えており、急な中断や日程変更があってもスムーズに対応できる体制が整いつつあります。こうしたデジタルツールの活用状況も、施工クオリティの一環として確認しておくと安心です。
外壁塗装を計画する際には、可能な限り「雨の少ない月」を選ぶとともに、気象の変化に対応できる柔軟な工程設計を意識しましょう。それが結果として「品質の高い塗装仕上げ」へとつながるのです。